ウサギのくしゃみや鼻水、鼻づまりといった呼吸器症状は、一般的に「スナッフル」と呼ばれます。実は、ウサギの鼻炎は「歯の異常」が原因で引き起こされることが多々あります。
ウサギの歯は一生伸び続ける常生歯です。牧草の不足や遺伝的な要因で咬み合わせが悪くなる(不正咬合)と、歯の根元(歯根)が頭蓋骨の方向へ逆伸びしてしまうことがあります。上顎の臼歯のすぐ上には鼻腔や鼻涙管が通っているため、伸びた歯根がこれらを圧迫・破壊し、慢性的な炎症や細菌感染の温床となります。治療を選択するために、鼻汁の検査やレントゲン検査などを実施し原因を調べていくことが必要となります。
当院の症例
現在当院で治療中のウサギさんも、慢性的な鼻炎症状で来院されました。
身体検査にて口内の歯の咬み合わせが悪い所見が認められたため、鼻腔や臼歯の評価をするためにレントゲン検査を実施いたしました。

(↑咬み合わせのラインは正常では一直線になります)
検査の結果、臼歯の不正咬合が認められ、慢性鼻炎の原因と考えられました。
歯根の伸長によって鼻腔の構造に変化が生じてしまっている場合、完治させることが難しい「慢性鼻炎」に移行することがあります。この症例では、ウサギさん自身の負担を最小限に抑えながら生活の質(QOL)を維持する治療を選択しています。
現在は、定期的なネブライザー治療(霧状にしたお薬を吸入して鼻の奥まで届ける治療)と、ご自宅での点鼻薬による局所治療を実施しています。呼吸の苦しさも軽減され、良好にコントロールできています。今後も症状の程度に合わせて治療を選択していく必要があります。

↑ネブライザー中(うさぎさんへの負担は特にかかりません)
ウサギのくしゃみや鼻水、あるいは「最近前足の内側が汚れている(鼻水を拭っているサイン)」といった症状が見られた場合は、口腔内の評価も含めた総合的な診察が必要です。
気になる症状があれば、いつでもお早めにご相談ください。
